ギラン・バレー症候群とは
末梢神経が障害されることによって脱力・しびれ・痛みなどの症状が引き起こされる病気のこと。
末梢神経はさらに、運動に関わる運動神経・感覚に関わる感覚神経・身体の機能を調節する自律神経に分類されるが、これらの神経に異常が生じることによって発症すると考えられている。
原因は、ウイルスや細菌による感染をきっかけに起こる免疫反応が自身の末梢神経を攻撃することによるものと考えられている。
全年齢で発症する可能性がある病気。
原因
ギラン・バレー症候群患者の3人に2人は発症の1~3週間前にカンピロバクター、サイトメガロウイルス、EBウイルスなどの感染症にかかった既往があるとされている。そのほかにも、インフルエンザなどのワクチンやコロナ感染によって引き起こされるケースも報告されている。
症状
下痢・風邪症状や発熱などの症状が生じて1~4週間後に手足の力が入りにくくなっていくのが典型的なパターンで、多くは、足の力が入りにくくなり、徐々に腕にも脱力が広がっていき、階段の上り下りができない・布団の上げ下ろしができないといった症状が現れる。また、脱力と同時にしびれや痛みが生じるケースもある。
重症なケースでは、顔の筋肉や目を動かす筋肉、物の飲み込みに関わる筋肉にも麻痺が生じることがあり、中には呼吸に関わる筋肉が麻痺して呼吸困難に陥ることも少なくない。
ギラン・バレー症候群は突然、前述のような症状が現れるが、多くは発症後4週間ほど経つと徐々に改善に向かい、半年~1年ほどで元の状態に戻っていく。
検査・診断
血液検査
末梢神経の異常を引き起こす糖尿病などとの鑑別をする目的で血液検査が行われる。また、ギラン・バレー症候群患者の60%の血中には末梢神経の成分を攻撃する抗体が存在するとされているため、この抗体の有無を調べる。
画像検査
脳や脊髄などの中枢神経の異常による症状との鑑別をするため、CTやMRIなどによる画像検査が行われる。
末梢神経伝導検査
末梢神経の電気的な活動が伝わる速さを測定することで、末梢神経が正常に機能しているか調べることができる検査で、ギラン・バレー症候群では、電気的な活動が伝わる速度が遅くなったり、伝わらなくなったりする部位が生じるため、診断の大きな手がかりとなる。
髄液検査
腰に針を刺して髄液を採取し、髄液中の細胞を詳しく調べる検査で、ギラン・バレー症候群では髄液中のたんぱくが増加し、細胞数が正常といった変化が生じるため、診断に役立つとされている。
治療
ギラン・バレー症候群は特別な治療をしなくても自然に軽快していくケースが多いとされており、重症化の場合は以下の治療を行う。
血液浄化療法
血液中の有害な物質を取り除いて体内に戻す治療法で、症状が軽くなり、回復が早くなる。
免疫グロブリン大量静注療法
原因となっている免疫反応(抗体)を抑えるため、大量の免疫グロブリン製剤を点滴で投与する。