Aプロポフォール
特徴
・脂溶性が高く水に溶けにくいため、脂肪乳剤となっている
・GABA受容体とNMDA受容体に作用して鎮静作用を発揮する
・肝臓で急速に代謝・不活化されることで良好に覚醒する
注意点
・ダイズ油や卵黄を含むため、大豆や卵黄にアレルギー歴がある場合は注意を要する
・ICUにおける人工呼吸中の鎮静に用いる場合、小児は禁忌(プロポフォール注入症候群:代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、急性心不全を引き起こす可能性があるため)
・静脈内投与時に血管痛が起こりやすい(オピオイド、リドカインを前投薬として投与すると効果がある)
・導入は速やかで、数分以内に就眠する
・プロポフォールで導入したのち、吸入麻酔薬で維持する麻酔法が一般的
・術中の維持もプロポフォールで可能であり、意識消失、鎮痛、筋弛緩の全てを経静脈的に投与する薬で得る麻酔法をTIVA(全静脈麻酔)と呼ぶ
利点
・PONV(術後悪心・嘔吐)の頻度が低い
・悪性高熱症の既往やその疑い・素因のある患者は吸入麻酔薬が使用できないが、プロポフォールは使用できる
Bチアミラール
特徴
・GABA受容体に作用して鎮静作用を発揮する
・薬80%がアルブミンに結合する
・脂溶性が高く、投与後は中枢神経系に取り込まれ急速に入眠させ、体脂肪に再分布することで濃度が下がり覚醒する
・血管痛がない
注意点
・強アルカリ性のため、血管外に漏れると組織壊死をきたすおそれがある
・急性間欠性ポルフィリン症、アジソン病、重症気管支喘息の患者には禁忌
・長時間投与で、再度脳に分布するため、麻酔維持には向かない
Cミダゾラム
特徴
・ベンゾジアゼピン系の代表薬剤であるジアゼパムは、代謝産物にも薬理活性があること、静注・筋注時の痛みが強いなどの欠点があり、水溶性のミダゾラムが標準使用になっている
・ベンゾジアゼピン受容体とGABA受容体に作用して鎮静作用を発揮する
・血圧低下が少ないため、ショック状態の患者の導入に使用しやすい
・健忘作用もあるため、局所麻酔下での鎮静を得る際によく用いられる
注意点
・静脈内に投与してから適切な鎮静効果が得られるまでの時間が比較的長いため、追加投与の判断は最初の投与から十分時間が経ってから行う
・呼吸抑制・舌根沈下が強い
・投与後に患者が不穏、非協力的になることがある
・長時間投与により耐性ができる
・拮抗薬のフルマゼニルがあるが、持続時間はミダゾラムより短いため、覚醒後に再び鎮静作用が出現することがあるため注意する
Dデクスメデトミジン
特徴
・青斑核や脊髄が作用部位で、α2刺激作用を介して鎮静、鎮痛、交感神経抑制作用を発揮する
・他の鎮静薬と異なり、認知機能が維持されることが特徴である
・呼吸抑制が少ないため、気道確保されていない症例でも安全に使用することが可能であるが、徐脈、血圧低下などの副作用が高頻度に発現するので注意が必要
注意点
・深い鎮静に適していない
・薬価が高い
各薬剤の投与量の目安
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※レミマゾラム(アネレム)
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