CLUB馬券@オッズ理論から算出した統計学3連単投資

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吸入麻酔薬

 

A吸入麻酔薬の分類
2つに大別される
・ガス麻酔薬 (亜酸化窒素:笑気)
・揮発性麻酔薬 (イソフルラン、セボフルラン、デスフルランなど)

吸入により肺胞を経由して血液に溶解し、さらに中枢神経に作用することで麻酔作用を発揮する。

揮発性麻酔薬は通常室温において液体であり、気化器によって目的の濃度に気化させて吸入投与する。

B最小肺胞濃度と血液/ガス分配係数
1.最小肺胞濃度
最小肺胞濃度(MAC)は、皮膚切開を加えたときに50%のヒトで体動が認められない最小の吸入麻酔薬の肺胞濃度のことである。95%の対象に有効である濃度は1.3MACである。

MACが高い(大きい)ほど高い肺胞濃度が必要になり、MACの数値は麻酔管理をするうえで投与濃度を決定する指標となる。

臨床では揮発性麻酔薬にオピオイド鎮痛薬を併用すると、MACが著名に低下することが重要である。つまり、現在の麻酔管理は、全身麻酔の要素を複数の薬物や方法で担うバランス麻酔が基本である。

そのためバランス麻酔では、MACの意義は薄れ、覚醒レベル(MAC-awake)のほうが重要である。これは、麻酔からの覚醒に際し、50%のヒトが言葉による簡単な指示命令に応答できる時に肺胞内濃度のことで、およそ0.33MAC。十分な鎮静を行ったうえで、2倍の余裕をみて0.7MAC程度で使用する。これは、セボフルランでは1〜1.5%、デスフルランでは4%程度の濃度である。

※ちなみに、高体温、甲状腺機能亢進、アルコール常用車は、MACを上昇させる

2.血液/ガス分配係数
37℃1気圧において、血液1mlに溶ける麻酔ガスの量を意味する。
この数値が大きければ溶けやすく、小さければ溶けにくい。
臨床的には導入と覚醒の速さ、麻酔深度の調節性や安定性のよさの指標となる。
デスフルランやセボフルランは、血液/ガス分配係数が小さいため、導入・覚醒が速やかである。

C吸入麻酔薬による麻酔の導入
吸入麻酔薬が吸入されると、肺胞内の麻酔薬の分圧が上昇し、分圧勾配によって麻酔薬は肺胞から血液に溶ける。それがさらに中枢神経に取り込まれて全身麻酔作用が発揮される。
吸入直後の麻酔薬分圧は、肺胞>動脈血>中枢神経だが、これらの分圧が平衡に達した時が、麻酔導入の完了である。つまり、呼気終末の麻酔薬濃度を測定することで、脳内の麻酔薬分圧を測定することができる

揮発性麻酔薬と悪性高熱症
揮発性麻酔薬はハロゲン化吸入麻酔薬とも呼ばれ、素因をもった患者に投与すると、悪性高熱症のトリガーとなる可能性がある。
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D各種吸入麻酔薬
1.亜酸化窒素
特徴
無色で無味無臭のガスである。意識を消失させる作用は弱く、MACも105なので、単独で全身麻酔はできない。
通常は50〜66%の濃度で吸入される。

利点
高濃度の一次ガス(亜酸化窒素)と低濃度の二次ガス(揮発性麻酔薬)を同時に吸入したとき、亜酸化窒素のほうが先に移行するため、揮発性麻酔薬の肺胞分圧がその分急速に上昇し、導入が早くなる。そして、揮発性麻酔薬のMACを50%前後低下させることができる。

注意点
閉鎖腔に急速に拡散して容量の増大や内圧の上昇をきたす。そのため、気胸や腸閉塞、気脳症など体内に特殊な閉鎖腔がある患者では使用できない。中耳手術や硝子体手術も使用しない。気管チューブやラリンジアルマスクのカフにも移行するので注意が必要
覚醒時に悪心・嘔吐を認めることがある。
助燃性があるため、レーザー手術には使用しない。
副作用に増結機能障害があるので、ビタミンB12欠乏症の患者には注意して投与する。

2.セボフルラン
特徴
MACは1.71。小児のMACは2.5〜3.3%である。
気道刺激性が少ないことが最大の特徴で、吸入導入が可能である。気管支拡張作用や、単独でも筋弛緩作用がある。

利点
吸入導入後にそのまま揮発性麻酔薬で維持する方法をVIMAと呼ぶ。
小児では麻酔導入前の静脈路確保が困難であり、マスクによる吸入導入法が適している。セボフルランは、血液/ガス分配係数が低いため、導入が迅速であること、気道刺激性が低いため導入中の咳や息堪えの発生も少なく、最もマスク導入に適している。
近年は8%の気化器も普及しており、欧米では8%を用いた導入が行われている。

注意点
生体内代謝率は3〜5%であり、残りは呼気中に排泄される。
また、麻酔器のソーダライム(二酸化炭素吸収剤)と反応して産生されるコンパウンドAによる腎障害が指摘されているが、極端な低流量麻酔でなければ問題はない。

3.デスフルラン
特徴
沸点が非常に低く(22.8℃)、常温では沸騰してしまうため、特殊容器に保管されている。また、使用する際は加熱装置を有する特殊な気化器が必要である。
MACは6%前後であり、セボフルランの約3倍である。このため、全身麻酔において、新鮮ガス流量を多く設定すると、他の吸入麻酔薬と比較し薬液の減りが早く、燃費効率をあげるためには新鮮ガス流量を下げる必要がある
ごく弱いが筋弛緩作用も有する。

利点
最大の特徴は、血液/ガス分配係数が最も小さいことである。つまり、最も覚醒が早い
また、生体代謝率も0.02%と吸入麻酔薬のなかで最小であり、肝機能障害、腎機能障害患者においても他の吸入麻酔薬より使用しやすい
さらに、セボフルランと比較し、PONVにもなりにくいというのも大きな利点である。

注意点
気道刺激性と交感神経刺激作用がある。
気道刺激性は、小児や末梢静脈路確保困難患者には不適当である。息堪えや咳反射、喉頭痙攣、交感神経刺激作用を引き起こしやすい。
また、麻酔からの覚醒が早いため、覚醒時に十分な鎮痛対策をしておかないと疼痛が出現する。術式に応じてしっかりとした鎮痛対策を計画することが大切である。

E揮発性麻酔薬の臨床上の利点
強い気管支拡張作用があるため、気管支喘息を合併した患者の麻酔管理では静脈麻酔薬よりも好まれる
セボフルランは自発呼吸が残りやすく、挿管困難症例などに応用される

F各種吸入麻酔薬の投与量の目安
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※よく忘れがちな、余剰ガス排出装置の接続も忘れないように