血液ガス分析で何をみるか
1. 呼吸をみる
PaCO2
PaO2
2. 酸-塩基平衡をみる
pH
PaCO2
PaO2
HCO3-
しかし、PaCO2が高いのは肺が悪いとは言い切れないのでA-aDO2を計算する
A-aDO2とは、動脈壁を乗り越える圧つまり肺胞がどれだけ動脈血に酸素を取り込む力があるかを表す
A-aDO2の基準値は5〜15mmHg
A-aDO2 = 150 -PaCO2 / 0.8 - PaO2で計算できる
PiO2 = 760 × 0.21 = 160mmHg
PAO2 = (760 - 47) × 0.21 - PaCO2 = 150 - PaCO2
これが悪いと、換気血流不均等・拡散障害(肺炎、間質性肺炎、心不全)、シャント(先天性心疾患、無気肺、肺動静脈瘻)などや、COPDなどを疑う。
正常であれば肺胞低換気などを疑う
A-aDO2は、低酸素血症を鑑別する際に計算する
A-aDO2が基準値より上の場合、肺胞に酸素は行き渡っているのに血液に酸素が行き渡っていない、つまり換気はできているのに、呼吸が障害されているということ
つまり肺が悪いと考えれる
基本的には酸素投与であるが肺胞低換気やCOPDではCO2ナルコーシスに注意し、低酸素投与と換気量の増加を意識する
水素イオン濃度 (pH)とは
通常、人間の体液のpHは、常に7.35~7.45に保たれており、これを酸塩基平衡と呼ぶ
しかし何かしらの原因によってpHのバランスが崩れ、血液が酸性側に、またはアルカリ性側に傾くことがあり、7.35未満(酸性)をアシドーシス、7.45以上(アルカリ性)をアルカローシスという
さらにこの酸塩基平衡の異常は、呼吸性と代謝性の2つのパターンに分類される
※代謝性アシドーシスの場合は、アニオンギャップ(AG)を計算する。
AG=Na-Cl-HCO3 正常が12±2
AGとは、血液中に存在する陽イオンと陰イオンの差のこと
・AG増加
糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全など
・AGが正常
ナトリウムイオンが減少する尿細管性アシドーシスや下痢など
治療
・代謝性アシドーシスの治療
高度な代謝性アシドーシス(PH<7.2)では重炭酸ナトリウムの投与など積極的にアシドーシスを是正する。
・代謝性アルカローシスの治療
高度な代謝性アルカローシス(PH>7.6)で心血管系の合併症がある場合や、テタニー症状、痙攣などの症状を呈する場合は、塩酸または塩化アンモニウムの投与や透析、人工呼吸管理など積極的にアルカローシスを是正する。
・呼吸性アシドーシスの治療
気管挿管または非侵襲的陽圧換気を用いて十分な換気を提供することである。十分な換気が呼吸性アシドーシスの是正のために必要な全てであるが,慢性高炭酸ガス血症は一般に緩徐に是正しなければならない。これは,Pco2をあまりに急速に下げると,基礎にある代償性高重炭酸血症が顕在化したときに高炭酸ガス血症後「オーバーシュート」アルカローシスが起こりうるからである。炭酸水素ナトリウムは,中枢神経系で逆説的にアシドーシスを引き起こす恐れがあるため,ほぼ常に禁忌である。
・呼吸性アルカローシスの治療
呼吸性アルカローシスは生命を脅かすことはなく,したがってpHを低下させるための介入は不要である。吸気中のCO2を再呼吸(紙袋からなど)によって増加させる方法が一般的に行われるが,髄液のpHがすでに正常範囲を下回っている中枢神経系障害患者の少なくとも一部では,危険な場合もある。