肝性脳症
肝硬変や肝臓がんなどによって肝臓の機能が著しく低下し、肝臓で代謝されるアンモニアなどの有害物質が体内にとどまり発症
脳にダメージを与え、性格や行動の変化、睡眠リズムの乱れ、羽ばたき振戦などの症状があらわれる
羽ばたき振戦とは、手関節を背屈させたまま手指と上肢を伸展させ、それを保持しようおすると手関節が急激に掌屈・背屈を繰り返す仕草のこと
進行すると、錯乱や昏睡、運動機能の異常などの症状が現れて死に至ることもある
黄疸、腹水、浮腫、易出血などを伴う
便秘、蛋白質の取り過ぎ、脱水、電解質バランスの変化、アルコール摂取、感染症、消化管出血などをきっかけに発症するケースもある
まずは意識レベルを確認し、ABCを評価する。血糖測定、神経学的所見の評価も行い、血液検査、腹部CTなど各種検査を行い、肝機能の状態を評価する
ただし、血中アンモニア濃度の上昇は必ずしも肝性脳症と相関しないことに注意する
肝硬変患者の意識障害の場合、鑑別すべき疾患として、血糖異常、脳血管障害、感染、電解質異常(低ナトリウム、高カルシウム)、ショック、ウェルニッケ脳症、薬剤性)ベンゾジアゼピン系、向精神薬、オピオイド)、てんかんなどがある
重度の場合は、食道静脈瘤を合併することもある
治療
アンモニアなど有害物質の産生や腸からの吸収を減らす二糖類、アンモニア産生を促す腸内細菌を減らすための抗菌薬(リファキシミン)の投与
アミノ酸代謝異常による意識障害を改善させ、アンモニアの分解に必要なアミノ酸を補充
予防
便通を整え、蛋白質の制限、適度な運動、禁酒、感染に対して気をつける