頭痛を主訴に来院された患者に対し、鑑別にあげたい疾患やこれだけは聞いておきたい病歴・ROSなどを下記に記す。
鑑別疾患
1st:SAH、髄膜炎、緑内障発作、外傷
2nd:CO中毒、側頭動脈炎、頸動脈・椎骨動脈解離、帯状疱疹、副鼻腔炎
3nd:片頭痛、緊張性頭痛
その他:高血圧脳症、脳血管障害、脳膿瘍、視神経炎、発熱、貧血、低Na血症、アルコール、大後頭神経痛、三叉神経痛、眼精疲労、能動脈奇形、腰椎穿刺後頭痛など
病歴
□OPQRSTを詳細に(特に突然、増悪発症)
□外傷エピソード
□人生最大の痛みか(最悪か)
□以前にも同じような頭痛の経験があるか
□最近始めた薬剤
□抗血小板薬や抗凝固薬の内服はあるか
ROS
全身:発熱(–)、意識障害(–)、有痛性の皮疹(–)、掻痒(–)
頭部:めまい(–)、頭痛の予兆(–)
眼 :眼痛(–)、視力障害(–)、視野障害(–)、複視(–)、閃輝暗点(–)
鼻 :鼻汁(–)、鼻閉(–)
頚部:頚部痛(–)
腹部:悪心・嘔吐(–)
神経:麻痺(–)、しびれ(–)
身体所見
全身 :皮疹(–)
頭頚部
眼 :瞳孔大きさ・左右差(–)、結膜充血・網様充血(–)
副鼻腔:前頭洞痛(–)、上顎洞痛(–)
側頭部:側頭動脈の圧痛(–)
口腔内:腫脹(–)、発赤(–)、白苔付着(–)
頚部 :項部硬直(–)、jolt accentuation(–)、neck flection test(–)
神経学的所見
脳神経
嗅神経:嗅覚障害(–)
視神経:視野障害(–)、視力障害(–)
動眼・滑車・外転神経:眼位正常、眼球運動(–)、複視(–)、眼振(–)、眼瞼下垂(–)
三叉神経:痛覚(–)
顔面神経:額のしわ寄せ左右差(–)、まつげ徴候左右差(–)、口角下垂(–)
耳神経:難聴(–)、めまい(–)
舌因・迷走神経:口蓋垂偏位(–)、カーテン兆候(–)、構音障害(–)、嚥下障害(–)
副神経:胸鎖乳突筋5/5、僧帽筋5/5
舌下神経:舌萎縮(–)、繊維束性収縮(–)、舌の偏位(–)
運動系
上肢バレー兆候(–)、ミンガッチーニ試験(–)
協調運動
上肢鼻指鼻試験(–)、下肢踵膝試験(–)
・SAHを判定するためには、発症時間が非常に重要で、頭部CTの感度は、6時間以内なら100%、24時間以内なら95%、3日以内なら75%、1週間以内なら50%となる。基本的に24時間経過していたら頭部MRIを検討する。
・また、ウォークインで来るSAHに神経学的所見は役に立たず、病歴で疑わしければ精査は必須である。
・脳梗塞を心配してくる人もいるが、基本的に脳梗塞で頭痛はないか、頭痛があればなんらかの神経所見を伴う。
・突然、増悪、最悪が1つでもあれば要注意