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フィジカルアセスメント

フィジカルアセスメント (頭頸部)

1. 眼
・眼球突出がないか確認
眼瞼結膜の色調を確認(緑の蒼白は貧血を意味する(Hb11以下))
眼球結膜に黄染や充血がないか確認(Bilが3以上)
瞳孔の大きさ、形、左右差を確認する

2. 副鼻腔
前頭洞、上顎洞付近に中指をあて、反対の中指で軽く打診し、痛みの有無を確認する、また圧痛の有無を確認する
 →副鼻腔炎の鑑別

3. 口腔内
・ペンライトと舌圧子を使用し咽頭粘膜、歯、歯肉、咽頭後壁、扁桃を観察する。
舌圧子が使いにくい場面では、「あー」と声を出してもらったり、頸部を後屈させたりすると観察しやすくなる
・扁桃は、腫脹、発赤、白苔の付着など、扁桃炎の所見の有無を観察する

4. 頸部
・頸部のリンパ節を触診する。頸部では1cm以上を腫脹とする。
・リンパ節はリンパ液の濾過を行なっており、微生物やがん細胞が到達すると反応性に腫脹する

5. 甲状腺
甲状腺を正面から観察し、その後母指で軽く触診する

6.内頸静脈
怒張は、中心静脈圧の上昇を、虚脱は脱水などの循環血液量の減少を示唆する

7. 髄膜刺激兆候
頸の前屈で痛みが誘発され、顎が前胸部につかない場合は陽性と考え、髄膜炎を疑う。

代表的疾患でみられる症状・兆候・局所所見 (頭頸部)
1. 頭部・顔面
・脱毛あり:感染症などの皮膚疾患
・満月様顔貌:クッシング症候群
・表情が硬く、変化に乏しい:パーキンソン病

2. 眼
・眼球突出あり:バセドウ病
・眼瞼結膜に蒼白あり:貧血
・眼球結膜に黄染あり:肝炎、胆管炎などの肝胆道系疾患
・眼球結膜に充血あり:結膜炎
・瞳孔不同あり:頭蓋内病変
・水晶体に白濁あり:白内障

3. 副鼻腔
・副鼻腔周囲に叩打痛、圧痛あり:副鼻腔炎

4. 口腔内
・繰り返す口腔内潰瘍:SLE、ベーチェット病など
(ベーチェット病は、口腔内のアフタ性潰瘍、外陰部の潰瘍、皮疹などの皮膚症状・ぶどう膜炎(眼の炎症)とされている)
・咽頭後壁に発赤:咽頭炎
・扁桃腫脹、発赤、白苔の付着:溶連菌性扁桃炎、伝染性単核球症など
・軟口蓋の花穂、口蓋垂の偏位:扁桃周囲膿瘍

5. 頸部
・下顎角直下リンパ節に腫脹:急性扁桃炎、急性咽頭炎など
・鎖骨上窩リンパ節に腫脹:甲状腺、喉頭疾患、真菌感染症
 (硬く、可動性不良:消化器がんなどのリンパ節転移)
圧痛:通常は炎症を意味する
・全体的な甲状腺腫大:バセドウ病、甲状腺腫瘍など
・坐位で内頸静脈の怒張:心不全、心タンポナーデなど
・ネックフレクションテスト陽性:髄膜炎など
・扁桃の発赤、腫脹、白苔の付着:細菌性扁桃炎やEBウイルスの感染症を疑う
(細菌性の場合は前頸部リンパ節の腫脹が認められるが、ウイルス性の場合は全身の感染症のため、後頸部リンパ節の腫脹が一般的である)
胸部の小水泡音は肺水腫、心不全などで認められる
・明らかな内頸静脈の怒張は心不全を疑う


フィジカルアセスメント (呼吸器)

1. 視診:呼吸の状態

2. 打診
・利き手と反対側の中指DIP関節を打診部位の表面にしっかりと固定し、利き手の中指でDIP関節を素早く弾ませるように叩く。その中指に伝わる振動を確認する。

3. 聴診:肺音は膜型で聴診する
1) 正常呼吸音の確認

2)呼吸音の異常の有無
・聴こえるべき呼吸音が聴こえない:呼吸音の減弱・消失(肺気腫、COPD)
・本来と異なる場所で聴こえる-気管支音化(肺胞音が聴こえるべき部位で気管支呼吸音を聴取する:大葉性肺炎など)

3)副雑音
①断続性副雑音(吸気時に聴取)

・大水泡音
 低音の荒い断続性の音で吸気初期から始まり、貯留した分泌物の中を気泡が流れることで弾けた音がする(肺炎)

・捻髪音・小水泡音
 断続性の細かい音で吸気半ばから週末に聴取する高めの音。吸気時に閉じていた小気道が吸気によって急激に再開通した音。間質性肺炎で聴取された細かな音を捻髪音、心不全の際に聴取するやや湿った音を小水泡音と区別することもある。

②連続性副雑音(吸気時に聴取)
喘鳴:管楽器様の音が混在した多音性の高音性連続性副雑音
いびき音:低音性連続性副雑音。痰が貯留するなどが原因
ストライダー:高調性の音で頸部で大きく聴取される。喉頭や気管の部分的閉塞により生じ、救急処置が必要。
笛声:気管支内に分泌物が付着、あるいは異物により気道が狭くなっている箇所を、呼気相で空気が通り抜ける時に生じる。

③非肺胞性副雑音
・胸膜摩擦音:胸膜どおしが擦れ合う時に生じる(胸膜炎)
・ハマン兆候:心拍動に同期する断続性のパリパリ音(縦隔気腫)

代表的疾患でみられる症状・兆候・局所所見 (呼吸器)
1.努力呼吸・陥没呼吸
・通常、吸気時には横隔膜が収縮して下がり、外肋間筋が収縮して胸壁が横上方に広がって胸郭内の容積が増す。すると胸腔内の圧が下がり、その結果肺に空気が流入して肺が広がる。
・しかし気管支喘息やCOPDでは横隔膜や外肋間筋といった呼吸筋が疲弊し、吸気時に呼吸補助筋と言われる胸鎖乳突筋や斜角筋が収縮し吸気を助ける努力呼吸となる。胸腔内の陰圧が増すと、鎖骨上窩や肋間が陥没し陥没呼吸となる。これらは、重度の呼吸不全を示唆する所見となる。

2.肺炎のフィジカル所見
・聴診上は、吸気時に断続性の荒い副雑音を認める(大水泡音)。肺胞に浸出液があると肺胞呼吸音は減弱する。

肺音は解剖学的にも前面と後面両方から聴診する必要がある

フィジカルアセスメント (循環器)
1.視診(静脈系)
 半坐位で頸静脈の怒張の有無と程度をチェックする

2.触診(動脈系)
・橈骨動脈を両側同時に触診
 →拍動の強さに左右差がある例も見られる(不整脈)
・足背動脈を両側同時に触診
 →下肢動脈硬化疾患の鑑別
・右側の頸動脈拍動を3本の指で触診
・患者を半左側臥位にして、心尖拍動を指先で触診

代表的疾患でみられる症状・兆候・局所所見 (循環器)
1.動悸
 ・安静時に訴える:不整脈の例が多い
 ・労作時に訴える:息切れと同じ症状のことが多い

2.息切れ
 安静時よりも労作時に訴えることが多いので、動悸の労作時と同様の対応で

3.胸痛
 安静時に訴える:肋間神経痛が多い
 労作時に訴える:多くは冠動脈疾患を考慮して精査、心疾患も見逃さないように聴診を行って心雑音の有無も確認する

収縮期雑音を聴いたら
 ノコギリを引くような荒々しい響き:大動脈狭窄
 風が吹くようなさわやかな高い響き:僧帽弁逆流

うっ血性心不全
・左心不全ではIII音ならびに肺の湿性副雑音
・右心不全では頸静脈の怒張ならびにに浮腫

同じ収縮期雑音でも、AS(大動脈弁狭窄)とMR(僧帽弁逆流)の聴診所見が違う
・ASは雑音は収縮期で、聴診部位は心尖部から右肩のエリア
・MRは雑音は収縮期で、聴診部位は心尖部から左側の腋窩

静脈系は視診
動脈系は触診
心臓系は聴診

足がだるい、痺れるなどは
・心房細動がないか、心房細動による左心房内に生じた血栓が下肢に飛んでいないか
・足背動脈は触れるか
・疼痛の有無
・Dダイマーはどうか

フィジカルアセスメント (腹部)

①腹痛の患者では表情の観察も大切。苦痛様または苦悶様(くもんよう)の表情は重篤な疾患を示唆する
②ショックバイタルや敗血症サイン(頻呼吸、意識変容、低血圧)に注意する

聴診は蠕動音の確認
触診
・両側の股関節と膝関節を屈曲させて腹壁筋の緊張を和らげる
・寒い冬の時期は、手と聴診器を温める
・まずは浅めの触診、そして深めの触診
・病巣と思われる場所から離れた部位より初めて、最後に病巣に至るようにする
・患者の呼気に合わせて行う
・反跳痛の有無の確認、2〜3本の指でゆっくりとやさしく患部に圧迫を加えて、少しその状態を維持したあと、パッと素早く手を離す。患者の自覚を確認して、除圧時痛の有無を確認する
・適用がある場合、直腸診を行う

・腹痛の原因として、鼠径や大腿ヘルニア、あるいは精巣捻転のことがある。

代表的疾患でみられる症状・兆候・局所所見 (腹部)
腹膜炎
ベッドで横になって背中を丸めてじっとしている場合は腹膜炎のことがある。腹膜炎では体動時に痛みがひどくなるのでじっとしている。反跳痛は腹膜炎を示唆する。

虫垂炎
心窩部と臍部の自発痛と右下腹部の圧痛と反跳痛が典型的
腹痛の原因が帯状疱疹の場合もあるので、皮疹に注意する

閉鎖筋兆候
・股関節と膝関節をそれぞれ90度に屈曲し、股関節を内旋させて、痛みの増強が陽性であれば、虫垂炎などで閉鎖筋への炎症波及を示唆する。

腸腰筋兆候
・側臥位として股関節を伸展させて、痛みの増強が陽性であれば、虫垂炎などで腸腰筋への炎症波及を示唆する。

視診
腹部膨満
腸内ガス:腸閉塞やイレウス
便:便秘
水:腹水
皮下脂肪:肥満
胎児:妊娠
また、膀胱充満(尿閉)の可能性もある

手術創部
過去の手術歴を反映した手術創部の瘢痕にも注意する

皮下出血
斑状皮下出血を認めた場合は、腹腔内での出血を示唆することがある。

触診
・正常でも認める圧痛
腹部大動脈、総腸骨動脈、盲腸、S状結腸などがある

・心理的疼痛
胸部や四肢を触診しても痛がることで鑑別がつく

・腹壁由来の疼痛
ときどき、腹痛が腹壁由来のことがあり、腹直筋血腫や前皮神経絞扼症候群などがある。

・皮膚知覚過敏
脊髄神経根症や帯状疱疹などでよくみられる

・関連痛
関連痛は病変部位に近い皮膚の痛み、放散痛は病変部位から離れた皮膚の痛みである。急性胆嚢炎の放散痛が右肩甲骨より下の付近に起こるものをボアス兆候、脾臓破裂で左肩に関連痛をきたすものをカール兆候と呼ぶ。


・急性胆嚢炎では、マーフィー兆候、モイニハン兆候がある。
・急性膵炎ではマレットガイ兆候がある。

・腹水では1側の側腹部を打診し、反対の側腹部で波動を感じる。シフティングダルネスや、パドル兆候、グアリノ兆候などがある。

・腹痛患者で腹痛部位の特定が困難な時に、息こらえを行うと、患者が腹痛部位を特定できることがある(バルサルバ腹痛誘発テスト)

フィジカルアセスメント (四肢骨格筋)
・熱感の左右差:関節炎の有無、変形性関節症では熱感はない
・関節液の有無:関節炎の有無
・関節裂隙の圧痛:半月板損傷の感度が高い
・内側、外側への不安定性:側副靭帯損傷
・前後不安定性の有無;十字靭帯損傷

・関節の腫脹や熱感があれば、関節炎を強く疑う

・コレス骨折:フォーク状変形
 橈骨遠位端骨折で遠位骨片が背側に転位したもの

・肘関節脱臼/上腕骨顆上骨折

・肩関節脱臼

 肘上腕骨頭が脱臼し、肩峰が孤立して肩章サイン(肩が角張る)を起こす

・大腿骨骨折(大腿骨近位骨折)
大腿骨骨折を起こすと、下肢は外旋・短縮することが多い
踵の位置の違いにも注意する

・股関節脱臼

 股関節が屈曲し内転し、また左膝の高さが低くなる

・総腓骨神経麻痺(足趾が底屈していたら疑え)
特に大腿骨骨折を起こすと下肢が外旋するため、膝外側の腓骨頭の下にある総腓骨神経が、腓骨と床の間に挟まれて総腓骨神経麻痺を起こしやすくなる。

フィジカルアセスメント (乳房・リンパ節)
・視診
左右差、皮膚の色合いやびらん・潰瘍の有無、ひきつけなど
皮膚が赤い場合は、炎症性疾患、炎症性乳がんを鑑別にあげる

・触診
患者は坐位・臥位で両手を挙げて、医師は指の腹で押し撫でるように触診する。
乳房や腋窩に腫瘤があれば精密検査を勧める

フィジカルアセスメント (泌尿・生殖器)
全体のポイント
・尿の性状、量の変化
・カテーテルの種類、固定位置、交換日の確認
・なぜカテーテルが必要なのか把握する
・下腹部は消化管、泌尿器、生殖器を意識して診察する
・会陰部は出血、膿、進出液など、消化管、泌尿器、生殖器のどこから出てきているのか意識して診察する
・患者背景、リスク因子、臨床経過なども情報収集を行う

フィジカルアセスメントの基本手順
1.CVA叩打痛:軽く拳で叩打し、疼痛が誘発される場合には感染や尿路閉塞が腎臓レベルまで及んでいることを考える

2.腹部所見:恥骨結合上部に触診上膨満および打診上認める場合には膀胱緊満を疑う(エコーで確定診断を)

3.直聴診:便塊の有無、前立腺の触診、肛門括約筋反射の有無

4.会陰部:視診上左右差、局所熱感・発赤・腫脹の有無など
     男性は外尿道口の観察も

排尿トラブル
・患者の通常の1回排尿量、排尿回数、時間帯を把握する
・飲水量、全身状態(風邪、手術後、飲酒後など)、薬剤の変化を把握する
・尿閉にて極度に膀胱緊満している場合は、尿閉解除に伴い、迷走神経優位になり急な血圧低下や心拍低下をきたす場合があるので、それらが起こりやすい既往(心疾患、脊髄疾患)やセプティックショックの患者などには、バイタルサインの変動に注意する。

尿量:○○ml/日
(○○Fr、蒸留水○○cc、○○cm固定、次回交換日○○)
カテーテルの状態(閉塞などはないか)
発赤、漏れ、疼痛など特になし
飲水量、通常の1回排尿量、排尿回数、時間帯
全身状態(風邪、手術後、飲酒後など)、薬剤の変更の有無
多尿なのか頻尿なのか
前立腺肥大など既往歴はないか
女性の場合は、会陰部の観察(外尿道口、膣の観察)
 →尿道カルンクル、尿路腫瘍(膀胱炎との鑑別も)、不正性期出血の鑑別を

フィジカルアセスメント (神経系)

1.意識・言語(注意および見当識、構音障害)
高齢者では見当識をきちんと確認することにより、初期の認知症が見つかる場合もある
意識レベルの変調が疑われる場合は、JCSやGCSで記載する

高次機能
記憶、視空間認知、言語(失語)について診察する

2.
脳神経 1〜7
1神経 (嗅覚):嗅覚低下の訴えがある場合に行う
 →目をつむってもらって、何の匂いがしたか当ててもらう
  (パーキンソン病やレビー小体認知症では有用な所見)

2神経
 →患者に自分の手で片目を覆ってもらい片眼ずつ検査する
  検者の花を注視するように指示し、検者は自分の視野いっぱいのところに置いた指を動かして患者が見えるかどうか確認する。上下左右4箇所を確認する。

3,4,6神経 (眼瞼下垂、瞳孔、対光反射、眼球運動、眼振)
・眼瞼下垂:自然な状態で遠くをみるように指示して、上眼瞼が瞳孔を半分以上覆うなら眼瞼下垂ありと判定する
・瞳孔:2mm以下は縮瞳、5mm以上は散瞳とする
・対光反射:ペンライトを使用し、縮瞳する直接反射を観察
・眼球運動:ペンライトなどを上下左右に動かし、眼球運動制限がないか確認する
・眼振:上下左右において眼振の有無を観察する

5神経 (顔面の痛覚検査)
・三叉神経の支配領域を把握しながら、V1,V2,V3領域についてるまようじで軽く痛覚検査をし、左右差があるかみる

7神経 (額のしわ寄せ、閉眼、鼻唇溝の左右差)
・額のしわ寄せ:視線を上方に誘導し、しわの左右差を確認

・閉眼:両目をぎゅっと閉じてもらい、まつ毛徴候の有無を確認する

・鼻唇溝の左右差:いーっと言ってくださいと指示、鼻唇溝のしわの左右差をみる

8神経 (指こすりの聴覚検査)
・耳から約15cm離れた距離で、母指と示指・中指をこすり合わせて聞こえるか検査する。聞こえなければ聴力低下の可能性

9,10神経 (軟口蓋の挙上、咽頭後壁の動き)
・患者にあーっといってくださいと指示し、軟口蓋が左右対称に挙上することを確認する

11神経 (僧帽筋力の左右差)
・患者に肩をすくめてもらい筋力の左右差をみる

12神経 (萎縮、繊維側攣縮)
・舌をまっすぐ出してもらい、明らかに偏諱した場合、偏諱した側が麻痺である。
・口を自然にあけた状態で、舌が細かく震えてる場合は繊維束攣縮陽性と判断する

3.運動系 (上肢バレー徴候、握力、筋萎縮、筋トーヌス)
・上肢バレー兆候:手のひらを上にして両腕を前方に水平に挙上させ、目をつぶってそのままの位置に保つよう指示する。麻痺側上肢は回内して下降する。回内せず下降する場合は、ヒステリーや位置覚障害などを考える。

・握力:握力計を力一杯握ってもらい、上肢遠位の筋力を評価
筋萎縮:四肢の近位筋と遠位筋の筋量の左右差を見る。同部位の末梢神経筋疾患を考える。
筋トーヌス:患者の肘を90度に曲げて力を抜いてもらい、他動的に前腕を回内、回外させる。肘関節や手関節を屈曲、伸展させる。抵抗があれば筋トーヌスが更新している。歯車を回すようなカクンカクンという抵抗があればパーキンソン病を考える。
ミンガッチーニ試験:仰臥位で両下肢の股関節と膝関節をそれぞれ90度曲げた状態を保ってもらう。わずかな筋力低下でも障害側の足が下がってくる。

4.協調運動 (上肢鼻指鼻試験、下肢踵膝試験)
・上肢鼻指鼻試験:患者の第1指で自分の鼻先を触り、その次に検者の指先を触り、続いて患者の鼻先を交互に触るように指示する。連動の円滑さ、振戦や測定異常の有無を観察する。
・下肢踵膝試験:臥位で、一方の下肢を挙げて踵で他方の膝を触れ、向こう脛に沿って踵を足元まで降下させる動作を繰り返す。

5.立位・歩行:立位、通常歩行、つぎ足歩行
・立位:坐位から立ち上がって、何もつかまないで立位保持ができるかみる
・通常歩行:普通に歩いてもらい、姿勢、上肢の腕振り、足の運び、方向転換時の動きに注目する
・つぎ足歩行:通常歩行が問題なければ、綱渡りをするように一直線とつま先と踵をくっつけて歩いてもらう。75歳以上はできなくても異常とは限らない。

6.感覚系:痛覚、振動覚
・特に訴えがない場合は、左右の四肢遠位部の痛覚と振動覚をみる。

7.反射:腱反射、ホフマン反射、トレムナー反射、バビンスキー反射
反射が減弱〜消失していればその中枢レベルの障害、亢進していればそのレベルより上位ニューロンの障害である。

下顎反射 (橋):患者に口を軽く開けてもらい、検者の第1指を顎中央に置き、その上から打鍵器で叩く。正常な場合は下顎反射は観察されない

上腕二頭筋反射 (C5):検者の母指を上腕二頭筋の健に置き、その上からハンマーで叩く。正常の場合は肘関節が屈曲する。
橈骨筋反射 (C6):前腕をお腹に乗せてもらい橈骨筋の腱の部分を叩く。正常の場合肘関節が屈曲する。

上腕三頭筋 (C7):患者の手を軽く持ち上げ肘関節を90度に屈曲させベッドにつかないようにする。正常では肘関節がわずかに伸展する。

膝蓋腱反射 (L3):膝関節を120度に曲げた状態で両膝窩を上下で下から軽く支える。膝蓋腱を直接叩き、正常では膝関節がわずかに伸展する。
・アキレス腱反射 (S1):下肢を軽く外転させ膝関節を軽く曲げる。検者は足底部を軽く持ち上げアキレス腱が適度に伸ばされた状態で叩く。正常では足関節が底屈する。

・全体的な反射の亢進は何らかの代謝異常(高カルシウム血症など)の場合もあり、全体的な減弱は正常でもありうる。

ホフマン反射:検者の手で患者の手をもち手関節をやや背屈させる。検者の中指と母指で患者の中指DIP関節付近をはさみ、検者の親指で患者の中指爪を弾くように刺激する。患者の母指が軽く内転すると陽性で、錐体外路障害を考える
・バビンスキー反射:足底部の外縁を踵から中趾基部に向かってゆっくりこする。正常は母趾が足底のほうに屈曲する。反対に背屈する場合は錐体外路障害と考える

錐体外路障害
・抗うつ薬などを長期間服用したときにドーパミンの過剰な遮断によって出現する症状のこと。
・錐体外路とは自分の意思とは関係なく現れる運動と緊張を支配している神経経路のことであり、錐体路(自分の意思で支配している神経経路)との協調によって私たちは随意的に運動することができるシステムとなっている。

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8.髄膜刺激徴候:項部硬直
・仰臥位で診察する。ゆっくり前屈させて下顎が抵抗なく全胸部につけば異常なし。前屈させた時にのみ抵抗があれば項部硬直を疑う。項部硬直はくも膜下出血や細菌性髄膜炎の際に陽性となる。

9.高次機能:記憶、視空間認知、言語(失語)
・高齢者やなんとなく反応が鈍い患者に検査する
・記憶:計算や無関係な単語を復唱し覚えてもらい5分後に思い出してもらうなどを観察する。すべて正答しなければ記憶の障害と考える。
・視空間認知:聴診器の両端をもって患者に真ん中をさしてもらう。右寄りを指す場合は、左半側空間失認があると考える。
・言語:失語症は運動性失語と感覚性質語に分けられる。物品呼称(時計などを見せてこれは何ですかと答えさせる)がスムーズにいえなければ運動性失語の疑い、口頭指示(左手で右の耳を触ってください)ができなければ感覚性失語を疑う。

周術期における体温管理

体温低下の予防
第1相:熱の再分布による核心温の急激な低下(再分布性低体温)

1.術前からの温風式加温装置による加温(プレウォーミング)

・手術ベッドの加温(43℃以上の設定で入室前に15分以上)

・麻酔導入後までの積極的な加温(15分以上)

2.室温を25℃以上に調整

末梢と中枢の温度較差を少なくしておくことで、熱の再分布を防ぐ

第2相:体表から外部への熱放散による体温の低下

1.患者プライバシーの観点からも麻酔導入後の身体露出は最小限に

2.術中も温風式加温装置による加温
 (麻酔導入・体位固定後は速やかに
  加温を開始する)

3.輸液・輸血は加温したものを使用

4.洗浄・灌流液は加温したものを使用

第3相:体温調節が出現して体温低下が抑制される

1.手術終了前に室温を25℃以上に調整

2.手術終了後、身体露出は最小限にし、温風式加温装置による加温を継続

3.術後ベッドに移乗後は電気毛布による加温

シバリングの治療

1.α2受容体アゴニスト(デクスメデトミジン)の投与

2.オピオイド受容体アゴニスト(フェンタニル、ペチジン)の投与

3.マグネシウムの投与

4.ドキサプラム(ドプラム)の投与

5.術前からのアミノ酸輸液の投与

6.フィジオもシバリング予防にはいい
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そもそも。。
ヒトの体温はどのように調節されているの?

体温調節ホメオスタシス

なぜ手術中は体温を測定しないといけないの?

麻酔の体温への影響

すなわち、麻酔により体温調節中枢の反応がにぶくなり体温調節が上手くできなくなる

閾値間域をもう少し具体的に・・・

1.行動性体温調節:意識がないためできない
2.自律性体温調節:筋弛緩薬の使用によって熱産生(シバリング)が起こらない
 →麻酔薬により体温閾値が拡大し、体性体温調節が行われなくなる
すなわち、麻酔中は周囲の温度の影響を受けやすい状態(変温動物状態)になる

麻酔中は絶対に体温は下がり、下がり続けると身体に様々な悪影響を及ぼす(悪性高熱は除く)

なので体温測定を行い、モニタリングする必要がある

なぜ麻酔中は体温が下がるの?

麻酔中の体温の推移

体温が低下する理由
第1相:熱の再分布による核心温の急激な低下(再分布性低体温)
麻酔によって交感神経系が抑制され末梢血管が拡張されること
によって、中枢の熱が末梢に移動し核心温が低下する

第2相:体表から外部への熱放散による体温の低下
麻酔中の熱変動は大きく分けて4つ
①伝導(手術台、消毒液、輸血、輸液、炭酸ガスなどとの接触)
②放散(大気中に熱が伝達)
③対流(空気の流れによる皮膚温度の低下)
④蒸散(呼吸、開腹・開胸などにより水分が気化)

第3相:体温調節が出現して体温低下が抑制される
ここまで体温が下がってしまうと、体温調節が出現したとしても、復温までにはかなりの時間を要してしまいます(末梢血管の収縮により血流は低下し、熱を中枢に戻しにくくなっているため)。

 →真冬の外を出歩いた時、手足の先が冷え切ってしまい、カイロなどで温めてもなかなか症状が改善しないのと同様の状態であると考えると分かりやすい。

こうなる前に、低体温にならないように体温調節を行うことが非常に重要

中枢温のセットポイントをもう少し具体的に

手術侵襲の影響により、術後は術前の体温よりも高めにセットポイントが置かれていることがほとんど。

 →風邪にかかった時、マクロファージなどを活発化させるために熱があがるが、その時とても寒くなったりふるえがでる。これは、体温のセットポイントが高めに設定されているため、熱をあげようとしてそのようなことが起きており、術後もこの状態とほぼ同様のことが起きている。

つまり、中枢温を正常値に保っていても十分な体温とはいえない

術後低体温による悪影響
・シバリングが起き、酸素消費量が増加する
・皮膚の緊張で疼痛が増加する
・薬物の代謝時間が延び、覚醒が遅延する
・凝固能が低下して出血傾向となる
・末梢が収縮しSSIが増加する
・術後飲水開始時期が延長する
・入院期間が延長する
・心臓への負担が増加する
様々な合併症が増加し患者・家族に多大な負担がかかる

まとめ
1.麻酔中は体温は絶対に低下する (脊椎麻酔も熱の再分布はおこる)

2.体温が低下する原因として熱の再分布と外部への熱の放散がある

3.体温の低下は様々な術後合併症を引き起こす

4.予防対策では温風式加温装置の使用が最も効果的である(特にPre-Warming)

5.第1層(熱の再分布)・第2層(外部への熱の放散)への介入が非常に重要
 (麻酔導入前の加温、麻酔導入・体位固定後の速やかな加温の開始)

PONV (術後悪心・嘔吐)

PONVの危険因子

患者危険因子:女性、非喫煙者、乗り物酔い・PONVの既往、術後オピオイドの使用
手術危険因子:腹腔鏡手術、婦人科手術

患者危険因子のうち4つあれば79%、3つでは61%、2つでは39%、一つでは21%、全くない場合は10%にPONVが発生する。

術後悪心・嘔吐(PONV)は経口摂取促進のうえで大きな障害となるため、制吐薬の予防薬投与を積極的に行う。制吐薬は、日本ではアタラックス、ドンペリドン1.25mg・メトクロプラミド20mgに限られる。そして、術中・術後のオピオイドの使用は可能な限り避けること、交感神経遮断により腸管運動を促進するという点でも、硬膜外麻酔は有用である。

また、酸素投与を怠ったり過少輸液により助長されることもあるので注意する。

糖尿病と意識障害

糖尿病と意識障害

インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンで膵臓のβ細胞から分泌される

その作用が不足することで血糖値が高くなり糖尿病へと進行する

作用不足は①膵β細胞からの分泌低下、②筋肉、肝臓におけるインスリン感受性の低下の2つがある

診断はHbA1c、空腹時血糖値を用いる

意識障害の患者では、血糖値の異常も考え、血糖測定をする

低血糖の場合には直ちにブドウ糖の投与が必要であり、高血糖の場合はインスリンを投与する

インスリン(ヒューマリン)1単位で30血糖値が下がる。
ブドウ糖10gで30血糖値が上がる。


また、高齢者は低血糖を起こしやすく、認知症、転倒のリスク因子となる

意識障害は電解質異常によって起こっている場合もある

体液の組成 循環血液量と術前・術中喪失の補充

体液の組成
体重が50kgの人の場合、そのうち細胞内は40%の20L、細胞外液は10Lであり、血管内は2.5L、間質は7.5Lとなる。

循環血液量
体重の7〜8%であり、50kgの人なら3.5〜4Lとなり、上記の計算と合わないが、上記の血管内には血球成分が含まれていないためである。

血液のおよそ60%が血管内(血漿)であり、40%が血球である。

水は浸透圧の低い(水のある)ほうから高い(水のない)ほうへ移動する。

術前の欠乏量と術中の維持量

4-2-1ルールで計算する

体重10kgまで 4ml/kg/h
体重10〜20kg 2ml/kg/h
体重20kg以上 1ml/kg/h

すなわち、
体重5kgなら20ml/h
体重10kgなら40ml/h
体重15kgなら50ml/h
体重20kgなら60ml/h
体重40kgなら80ml/h
体重60kgなら100ml/h
以後10kg増えるたびに10ml/h追加

すなわちこれに絶飲時間をかけると術前の欠乏量になるため、これを手術中に早期に補わなければいけない。
不汗排泄や出血なども考慮し輸液を投与する必要があるが、最終的に、尿量が0.5〜1ml/kg/hを維持するレベルで輸液を投与する。

術中喪失の補充
出血を
細胞外液で補う場合:出血量の3倍を目安
代用血漿剤で補う場合:1.5倍を目安
輸血で補う場合は:等量を目安



心電図波形 代表的な間隔とその異常・対処法

心電図波形の代表的な間隔と異常

不整脈
PR(PQ)間隔
 延長:房室ブロック
 短縮:WPW症候群

1度房室ブロック:QRSは脱落しない
2度房室ブロック:QRSが脱落する
WPW症候群:リエントリー性の頻拍発作や頻拍性心房細動などの多彩な頻脈性不整脈をきたす

QRS時間
 延長:脚ブロック

QT間隔
 延長:ブルガタ症候群、心室細動の危険性、心室頻拍
 短縮:心室細動、心房細動の危険性

PP間隔の不整
 洞停止、洞房ブロックなどの洞不全症候群

RR間隔
 不整:心房細動や上室・心室期外収縮、洞房ブロック、房室ブロック
 延長:洞性徐脈、完全房室ブロック
 短縮:洞性頻脈、発作性上室性頻拍、心房粗動、心室頻拍


術中不整脈に対する対処
aP波の異常
1.心房性期外収縮(APC)
 様子観察

2.心房細動
 様子観察だが、心房内の血栓が飛ぶと致死的状況になる

3.発作性心房細動(PAF)
 循環血液量の減少でなることもある。ジギタリスやカルシウム拮抗薬を投与する。
 それでも戻らない場合は、除細動の適応。

4.心房粗動
 β遮断薬またはカルシウム拮抗薬の投与

5.発作性上室性頻拍(PSVT)
 頸動脈の圧迫を行い、迷走神経を刺激する。それでも止まらなければプロプラノロールやオノアクトといったβ遮断薬。それでも止まらなければ同期カルディオバージョン。

bPR幅の異常
1.1度房室ブロックとWenckebach型房室ブロック
 PR幅が徐々に伸びて、あるときQRSがなくなる。
 アトロピンの投与

2.Mobitz2型房室ブロック
 PR幅は正常だが、あるとき突然心室への指令が伝わらなくなる。
 アトロピンは効果がなくて、ペースメーカーの適応である。

cペースメーカー

アルファベットの意味
1番目:刺激部位
 Aは心房、Vは心室、Dは両方

2番目:検出部位
 Aは洞結節からの指令を感知
 Vは心室伝道路へ指令が伝わっているかを感知
 Dは両方感知
 Oは感知しない、指令は無視

3番目:制御方法
 Iは抑制(指令を感知したらペースメーカーはお休み)
 Dは抑制および同期
 Oは抑制機能なし(ずっとペースメーカー)

よくあるペースメーカーの設定は、AAI、VVI、DDD

dQRS群の異常
1.心室性期外収縮(PVC)
P波のあとに幅の広いQRS幅が出現する。
60%の人がPVCを認めるが、心筋梗塞などの既往があると80%にのぼる。
PVC単発では問題ないが、3段脈を認める場合は、リドカインなどで対応。
(T波のところでPVCが出現するとVFになる恐れがあるため)

2.心室頻拍(VT)
PVCが3発連続で出たらVT。
VFに移行することもあるため、AEDを使えるようにしておく

3.心室細動(VF)
言わずもがなで、心停止と言われている状態のため、ただちに心肺蘇生

eT波の異常
テント状のT波を認めたら、高カリウム血症のサインの一つである。

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心筋虚血
心電図変化:ST低下と陰性Tは心内膜下虚血、ST上昇は心筋貫通性虚血を示すことが多い
麻酔中は2誘導ではなく、V5誘導も追加する。
術中危険因子:高齢、脂質異常症、男性、高血圧、喫煙、糖尿病、虚血性心疾患の既往

低血圧に対して:輸液負荷、昇圧薬の投与
頻脈に対して:β遮断薬(オノアクトなど)、麻薬の追加
高血圧に対して:揮発性麻酔薬、麻薬、ニトログリセリンなど
冠動脈疾患:ニトログリセリンなど


心電図
A誘導法
心臓の収縮と拡張は、電気的な興奮が心臓を伝わっていることで起こっており、電気的な興奮が記録を行う電極に向かって進む場合、正を記録し、遠ざかる場合は負を記録する。

心電図
標準肢誘導

・1誘導:右手から左手
・2誘導:右手から左足
・3誘導:左手から左足

1~3誘導は、全て上向き波形になる。

単極肢誘導

・aVR誘導:中心から右手
・aVL誘導:中心から左手
・aVF誘導:中心から左足

・aVRのみ、下向き波形になる。

胸部誘導

3極誘導法は、右腕、左腕、左足3電極を使用する簡易な誘導法で、通常は、P波が明瞭で不整脈の検出に優れた2誘導での監視を行うことが多い。
5極誘導法は、通常は不整脈の検出に有効な2誘導と、心筋虚血の検出率が高いV5誘導かV4誘導を同時に表示する


参考文献
www.hanakonote.com




循環管理の生理学

「花畑(細胞)に水(酸素と栄養)を」の考え方でいくと、

心臓(ポンプ)、血液(水)、血管(ホース)、肺(フィルタ)があり、これらが循環を構成している。

①心臓(ポンプ):平均血圧、心拍出量心拍数、心調律

※平均血圧=末梢血管抵抗×心拍出量
※心拍出量=心収縮力×前負荷×心拍数

②血液(水):前負荷、中心静脈圧、肺動脈楔入圧、左房圧、血中ヘモグロビン濃度尿量

③血管(ホース):末梢温後負荷、血管抵抗

④肺(フィルタ):気道内圧、無気肺、動脈血酸素飽和度、肺動脈圧、中心静脈圧、左房圧、肺動脈楔入圧、肺動脈血管抵抗


1.心臓(ポンプ)
a心収縮力
・心エコーや心臓カテーテル検査などで評価するとともに、大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、三尖弁の状態はどうか評価する
左心系:大動脈弁、僧帽弁 右心系:肺動脈弁、三尖弁

・生理学的に重要なものは、フランクスターリングの関係であり、正常な心臓では、輸液をするとその分、心収縮力が増大するという関係のことで、正常でない心臓はその曲線の勾配が小さくなる。つまり、前負荷が増大する。そして、重度に心収縮力が低下している場合は、拡張終期圧が過剰に上がると心収縮力は下がる。

b心調律(リズム)
・特に心房細動で、心房細動だと30%以上も心拍出量が低下する。それにプラスして頻脈になるとそれだけで循環が成り立たなくなる場合もある。そのため、心房細動での頻脈になることは避けるように管理する必要がある。

c心拍数
心拍数が増加しすぎると拡張期の時間が短くなり、心拍出量は減少する。心拍数90前後が心拍出量を最も多くする値といわれている。
・しかし目標とする心拍数は個々の症例で異なることは理解しておく必要がある。

2.血液(水)
a前負荷
・定義は、静止している筋肉にかかる、筋肉を新たな長さまで伸ばすための負荷であり、左房圧、中心静脈圧を用いて評価する。

b血中ヘモグロビン濃度
・血中ヘモグロビン濃度が低いと混合静脈血酸素飽和度は下がる。ヘモグロビンは酸素を各細胞に運ぶトラックの役割を担っているため、重度の貧血は許容できない

c尿量
水分バランスの管理と循環動態の評価という二つの側面から、尿量は重要である。血液は腎臓に入り、糸球体を通過する際に濾過されて尿となる。つまり生理学的には60mmHg以下では尿は産生されないことになる。そのため尿量は循環管理において重要な意味をもつ。

3.血管(ホース)
a後負荷
・後負荷は心室壁にかかる収縮期のストレスであり、後負荷が上昇すると、1回拍出量が減少する。
・後負荷を規定する因子には血管の硬さ・軟らかさと血管抵抗がある。高齢者で動脈硬化が進んでいる場合は非常に硬いし、若年者では軟らかい。

b末梢温
・末梢血管が収縮すると末梢循環不全に陥るため、末梢循環を適切に管理することも重要である。

4.肺(フィルタ)
・症例が重症であればあるほど、肺の状態が全身の循環動態に大きく影響してくる。
右のポンプと左のポンプの間のフィルタの通りが非常に悪かったらどうなるか、左のポンプの前には水が少なく、花畑には十分な水を与えることができない。そしてフィルタの前に水があふれ、かつ右のポンプの後ろにも水が溢れる状態になる。
・肺の状態が悪いことで心拍出量が低下し、右心の後方臓器にうっ血を呈する状態を、右心不全という。気道内圧が高いとか、無気肺が疑われる場合はフィルタが目詰まりしている可能性が高い。生理学的には低酸素血症という。つまり、換気が不十分などの理由で無気肺が形成されると、その部分で換気が行われず、無気肺の周囲の肺動脈が収縮し血流を制限する。そのためにフィルタが目詰まりする。
必要十分な換気量と適切な呼気終末陽圧、また気管内吸引などで無気肺を予防することが大事である。

5.細胞・組織(花畑)
・酸素消費量=酸素必要量とするためには、酸素供給を十分に行うことと、酸素消費量を減らすことであり、高体温や低体温でシバリングなどによる熱産生では酸素必要量が非常に増加するため、増加しないように管理を行うことが重要である。

A心臓モニタリングについて
肺動脈カテーテル(PAC)について
バルーンを膨らませた状態で肺動脈末梢に楔入した圧、つまり肺動脈楔入圧(PAWP)は左房圧を反映する。しかし、PAWPはバルーンを膨らませた状態でないと測定できないため、連続的モニタリングは不可能である。そのため、肺動脈拡張期末期圧をPAWPの数値の代用としてその変化をモニターする。

スワンガンツカテーテル

スワンガンツカテーテルの定義
スワンガンツ(Swan-Ganz)カテーテルは、静脈から挿入して右心カテーテル検査を行うために考案・開発され、臨床応用された多目的カテーテルである。

カテーテルのしくみ
先端にバルーンが付いているため、血流に乗せて右心房、右心室を経由して肺動脈まで安全にカテーテルを進めることができるしくみになっている。

カテーテルの特色
スワンガンツカテーテルは、以下の2つの血行動態指標を測定できる点に特色がある。
①肺動脈圧
スワンガンツカテーテル先端のバルーンを拡張して肺動脈内を末梢に進めていくと、最終的に肺動脈の小さな枝を拡張したバルーンで閉塞することになり、カテーテルの先端圧は左心系の肺静脈圧を反映する。このときの圧を肺動脈楔入圧(pulmonary artery wedge pressure:PAWP)という。左室拡張末期圧は左室機能が低下すると上昇する。つまり、右心カテーテルを用いて肺動脈楔入圧いわゆるPA圧を測定することによって、左室機能をリアルタイムに評価することができる。
 
 
②心拍出量
スワンガンツカテーテルは、先端にサーミスター温度センサーを装備している。右房に位置する先端から30cmの部位に冷水の注入孔が開いており、ここから注入された一定量の冷水が右房・右室で混和され、還流量(心拍出量)に応じた温度変化として感知されるようになっている。つまり、還流量が多ければ温度変化が少なく、還流量が少なければ温度変化が大きくなる原理を用いて、心拍出量(cardiac output:CO)が算出される。

スワンガンツカテーテルの利点は、肺動脈楔入圧の上昇(18mmHg以上)をうっ血の指標、心係数の低下(2.2L/分/m2)を心拍出量低下(ポンプ機能障害)の指標として、心不全症例や心臓手術後の症例における連続的な血行動態評価とすみやかな治療法の決定を可能にする点であろう。

B経食道心エコーモニタリング
経食道心エコー(TEE)検査は、胃カメラのように口から食道に直径約1cmの超音波内視鏡を入れ、心臓を食道から観察する検査で、食道は心臓のすぐ後ろにあるため、心臓や大血管の鮮明な画像が得られる。経胸壁心エコー検査で描出困難な場合や心臓の奥にあるものを観察するのに有用な検査である。

C循環管理における臓器血流
1.脳血流と周術期管理
a脳血流の自動調節能
・一般的には平均血圧が70〜150mmHgの範囲にあれば脳血流は一定に保たれる。脳灌流圧は、頭蓋内圧が正常であれば50〜60mmHgとなるが、高血圧の合併や糖尿病、脳梗塞、脳出血の急性期にはこの自動調節能は障害されるため、過度の血圧低下には注意を要する。
高度に頭蓋内圧が亢進すると脈圧の増大がみられる。脳灌流圧が低下して脳血流量が減少し、脳虚血を引き起こすが、生体は脳血流量を維持するために、血圧を上昇させて脳に血液を送り込もうとする。収縮期血圧が上昇する一方で、拡張期血圧は低下するため。
・頭蓋内圧亢進の兆候があれば、外科的開頭術のほか、過換気や薬物投与(マンニトール、バルビツール酸系)を行う。

b麻酔薬の脳血流に対する影響
・一般的には静脈麻酔薬は脳血流を減少させ、吸入麻酔薬は増加させるといわれている。したがって、頭蓋内圧の亢進している患者には静脈麻酔薬のほうが使いやすいといえる。

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2.腎血流と周術期管理
a腎血流の自動調節能
腎動脈圧が80〜180mmHgの間で腎血流量、糸球体濾過率が一定に保たれる。

b麻酔薬と腎臓
吸入麻酔薬(特にセボフルラン)は、コンパウンドAという代謝産物が腎毒性をもつといわれていたが、腎機能の低下につながることはないことが確認された。むしろ腎保護があるとされている。

3.肝血流と周術期管理
a腎血流の自動調節能
肝血流を増加する薬物としてはプロスタグランジンがある。ドパミンは根拠がはっきりしない。

b麻酔薬と腎臓
静脈麻酔薬は肝血流に有意な影響は与えない
吸入麻酔薬は門脈血流を減少させるが、肝動脈血流は増加するといわれている。いずれにせよ臨床上あまり影響はない。

4.冠血流と周術期管理
a冠血流の自動調節能
50〜150mmHgの間で一定に保たれる。
しかし、冠動脈狭窄病変があると、血流を増加させる能力は低下しているため、酸素需要が増加したときは虚血を呈することがある

b冠血流増加と心筋保護(抗狭心症薬)
・硝酸薬:血管平滑筋弛緩作用があり、静脈系の拡張は、心臓に戻る血液量(静脈灌流)を減少させ(前負荷の減少)、心筋酸素消費を減少させる。また、動脈系の拡張は、末梢血管抵抗を下げ、左心室に対する負荷を減少させる(後負荷の減少)。また、冠動脈を拡張させ、心筋酸素供給量を増加させることにより、冠動脈の攣縮も抑制する。
・β遮断薬:心拍数減少、心収縮力低下作用により心筋酸素消費を減少させる。労作性狭心症に有効であるが、冠動脈攣縮を起こしやすくなるため、異型狭心症には使用できない。
・カルシウム拮抗薬は前後負荷のほか冠血管拡張作用を有するので、特に冠動脈攣縮の関与する異型狭心症に重要な薬剤である。

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循環作動薬

1.アドレナリン
α1、β1、およびβ2受容体に作用を示し、心刺激作用、末梢血管収縮作用、気管支拡張作用がある
・特にβ1の強心作用が強い
・アナフィラキシーショック時の第一選択薬として使用される

2.ノルアドレナリン
α1受容体への作用が強く、β1受容体への作用は弱い。β2はほぼなく、末梢血管抵抗を増大させる
・特に急性低血圧やショック時の昇圧に対して使用される

3.フェニレフリン、エチレフリン、エフェドリン
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4.ドパミン
α1およびβ1受容体、ドパミン受容体に刺激作用を示し、低用量では血管拡張および利尿作用、中用量では心拍出量の増加、高用量では血管収縮作用が強く発現する
・重篤な肺血症の血圧維持に対してノルアドレナリンとともに第一選択薬となっている

5.ドブタミン
β1受容体に刺激作用を示す
・おもに急性循環不全時の心収縮力増強の目的で用いられる

6.ランジオロール(オノアクト)
・β1受容体を選択的に遮断し、おもに心房細動の頻脈や上室性頻拍に対して効果を示す

7.アトロピン
・ムスカリン受容体に対して遮断効果を示し、徐拍性不整脈に対して効果を示す
・低用量の場合は徐脈を示すことがある

8.アルプロスタジルアルファデクス (プロスタンディン)
後負荷減少
血管平滑筋に作用し、血管拡張により速やかな血圧下降作用を示す
・さらに、肝血流や腎血流を維持する
・血小板凝集抑制作用を示すことから、慢性動脈閉塞症、血行再建時に効果が認められている

9.ニカルジピン (ペルジピン)
後負荷減少、冠動脈拡張作用
血管平滑筋細胞中へのCa2+の取り込みを抑制し、血管拡張作用を発揮する

10.ベラパミル (ワソラン)
Ca2+の細胞内流入遮断作用を示し、血圧を低下させる
上室性頻拍性不整脈に対して使用される

11.ジルチアゼム (ヘルベッサー)
弱い後負荷減少と弱い冠動脈拡張作用
細胞内へのCa2+流入を抑制する
高血圧性緊急症の血圧管理に有用

12.ニコランジル (シグマート)
強い冠動脈拡張作用
血管平滑筋を弛緩させ、冠動脈を拡張させる

13.ニトログリセリン (ミリスロール)
前負荷・後負荷減少、冠動脈拡張作用
血管平滑筋を弛緩させ、冠動脈を拡張させる


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末梢性めまい

良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病など、内耳を中心とした病気が原因で生じるめまいのこと。

天井がグルグル回るような回転性めまいや、ふわふわした感じと表現されるようなめまいが起こる。

原因により治療方法が異なる場合もあるため、めまいが起きている原因を明らかにすることが大切である。

先述のとおり、末梢性めまいにはBPPV、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴、聴神経腫瘍など様々な疾患が原因で生じる。

BPPVでは、頭を特定の方向を向けたときにめまいが誘発されるし、メニエール病では耳鳴りや難聴、耳閉感、突発性難聴では、突然耳が聞こえなくなり、それに付随してめまいが生じる。

必要に応じ頭部CTも考慮する。

治療としては基本的には安静で、炭酸水素ナトリウムの使用、メニエール病ではイソソルビド、突発性難聴ではステロイドの使用を考慮する。

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くも膜下出血 (SAH) ザー

病態
その名の通り、脳の「くも膜下腔」に出血が生じる病気。
脳は外側から硬膜・くも膜・軟膜と呼ばれる三つの膜で重なるように包まれており、くも膜下腔はくも膜と軟膜の隙間である。

原因
原因の多くは、くも膜下腔の動脈瘤が形成(8割以上)され、それが破裂することによって発症する。それ以外の原因としては、頭部外傷や先天的な血管の形態異常、もやもや病などがある。

ちなみに私も2例、くも膜下出血に当たったことがあり、1例は頭部外傷が原因であった。

症状
突然バットで殴られたような激烈な頭痛や吐き気・嘔吐が特徴。頭部外傷の場合は症状が軽度の場合もしくはほぼ無症状の場合もある。
出血量が多い場合は脳が圧迫されることで意識を失うことも多い。

検査・治療
症状が疑われた場合は、ただちに頭部CTを撮影するが、症状が軽度の場合ははっきりとした出血が分からない場合もある。脳動脈瘤を確定するためにも造影CTも有効である。
CTで確認できない場合はMRIや髄液検査も考慮

脳浮腫や血圧上昇などに対し薬物を投与する。再破裂予防のため降圧薬を積極的に投与する。けいれん発作に対しては抗痙攣薬を投与する。

基本的にはただちに手術が必要(死亡率が高いため)であり、脳動脈瘤の根部をクリップで遮断するクリッピング術や、カテーテルによるコイル塞栓術なども増えている。麻痺の有無、構音障害など評価からの重症度を判断する。

手術などの治療によって救命できた場合でも後遺症が残るリスクが高い(約75%)疾患であり、急性期で最も重要なことは、再破裂を起こさないようにすることで、絶対安静とする。